【Boy.の音楽コラム】Vol.02:飽和したシティポップ界について

entertainment | 2017.8.13

バブルと化した平成シティポップ時代

そういえば最近こんなPVをよく見ないだろうか。

そう、今流行りに流行っているジャンル、”シティポップ”だ。

つい数年前まで●●-BOONやらKEY●●●●やらのBPM170、4つ打ちでフェス受けするようなバンドが流行っていたかと思いきや、今では夜景を背中にドライブしながらかけるようなアシッドジャズが流行りだ。なんとこの2、3年でもうJ-ROCK事情は変化したらしい。

ただ、我々は思った。「どうも彼らの曲が同じに聞こえてしまう」と。「どうもネオン感のある雰囲気の中、煌びやかに楽曲を歌い上げるあのイメージが抜けない」と。

今日はそんな疑惑をBoy.編集部エンタメチームが議論し、なぜ今この時代にシティポップが再燃しているのか考えてみた。

シティポップを語る。

率直に、「シティポップ」ってなんなのだろうか。その厳密な定義については難しいが、主に1980年代に流行り出した都会的なイメージを想起させるような楽曲がそれに当たると言える。

Boy.でも過去におすすめシティポップなんて記事を書いていたりするから参考にしていただきたい。

タイトルにも書いてしまっているが、「シティポップ=おしゃれ」みたいなイメージは少なからずあるだろう。そこで、Boy.編集部エンタメチームでそのイメージについて話し合ってみた。

べくん「シティポップシティポップ言うけど、実際のイメージってわからないよね(笑)」

おじょう「やっぱりBGMとしては優秀だけど、逆にそこで落ち着いちゃうところはある気がする。」

ヒョン「STAY TUNE IN TOKYO FRIDAY NIGHTとか実際に歌詞としてはよくわからないし(笑)」

ひろまさ 「そうだね。MVとか観てもどれもネオン感がある感じがする(笑)。おしゃれなんだけどね。」

えみり 「なんか『好きなバンドは何?』って聞かれて、とりあえずシティポップのバンドを言っておけばいい感あるかも。」

べくん 「それはめっちゃあるね。友達にも突然「Suchmos好き」とか言い始める人いるし(笑)」

ヒョン 「でもやっぱりSuchmosの曲をかけると空気もガラッと変わるし、そういうカリスマ的なものはなるべくしてなった気がする。」

なるほどなるほど。つまるところ、おしゃれで聴きやすいポップさみたいなものは保ちつつ、それぞれのバンドの個性みたいなところに惹かれているのだろう。

これはひとえに最近の流行りだからという理由だけでなく、1980年代に流行った音楽がやはり我々日本人に大きな影響を与えた結果とも言える。

かの有名な山下達郎さんなんかはまさにその代表といえよう。

そんなシティポップが再燃している今、Boy.編集部エンタメチームの思う今流行りのバンドの個性とはなんなのか、それぞれに聞いてみた。

流行りのシティポップ

●Suchmos

出典元 suchmos.com

CMソングで爆発的に名を広め、今やほとんどの人が知っていると言っても過言ではないこのバンド。JPOPというよりどこか洋楽っぽいそのサウンドは流した場の雰囲気をガラッと変える。

ノリノリというよりかは、夜のドライブで流したくなるようなどこかしっとりとした艶やかさのあるメロディだ。

曲のおしゃれさもさることながら、見た目もどう見てもおしゃれ。そのファッションはTHE・今風であり、最近のシティーボーイの要素が詰まっている。その中でも一番際立つのはボーカル・YONCEだ。

白Tにタイトなジーパン、黒髪アップバングの七三ヘアー、そしてアディダスジャージのスタイルは彼の代名詞とも言えるスタイルだろう。マネする男子大学生も多かったはず。

多種多様なものがありふれ、何かがドカンと流行ることのない現代において、一つのバンドの曲のみならずファッションまでもが流行るのは本人のカリスマ性があってのことだろう。

バンドメンバー全員が茅ヶ崎や横浜など出身が近いこともあり、地元愛が強いのも特徴だ。曲の歌詞にも地元への愛、誇りが思いっきり詰めこまれている。

LIVEではマイルドヤンキーとまではいかないが、情に厚い、地元の頼れる兄貴のようなMCをして、会場を沸かせる。そのどこか頼れるカッコよさが若い世代を引き込む魅力なのだろう。

今一番様々な世代に愛され、ビッグになりつつあるバンドである。

●ぼくのりりっくのぼうよみ

出典元 bokuriri.com

まず注目すべき点は彼の華やかな経歴。ニコニコ動画で「歌ってみた動画」をあげていた少年が、高校2年生のときに日本最大級の10代向けオーディション「閃光ライオット」に応募。

約1万組の中からファイナリスト10組に選出され新木場STUDIO COASTでライブを披露。そこから知名度と人気は鰻上り。現在は映画「3月のライオン」、アネッサのCMソングにも起用されている。

ヒップホップにのせて紡ぎだされる歌詞は、まだ大学生の男の子が作ったとは思えないほど精巧に作られている。一度聴いただけでは掴みきれないミステリックさも魅力の一つである。

また、しっかり歌詞が聞こえるのにささやき声にも感じるというようなぼくりり君にしか作り出せない世界観は、聴く者を一瞬で虜にしている。

このPVには池田エライザなどのモデルも起用し、「sub/objective」「CITI」、「Sunrise(re-build)」は三部作として制作され、そのメッセージ性の強いストーリーにも多くの注目が集まった。

育ちの良さそうな顔からは想像もつかないほどのTwitterの面白さというギャップも持っている、魅力たくさんのシティポップ界の期待の新人である。

●Awesome City Club

出典元 awesomecityclub.com

アー写を見た瞬間に、「うわ、全員グループ外にキープがたくさんいて、でも平然としているタイプだ」と思ってしまった。しかし、聴いてみると、実は世界観がしっかりしている。

そんな私が初めて聴いた曲のはこの曲だ。

MVで動いているメンバーを見て、「歌っている女の子は実物の方が可愛くて、ライブに行くときっと惚れてしまう」、そんな初恋のような感情を抱いた。

そして月日が経ち、先日「green room festival」でAwesome City Clubのステージを見る機会があった。屋外フェスでシティポップを聴く、しかもお昼だった。

出典元 livefans.jp

Awesome City Clubでも、今回紹介しているそれ以外のバンドでも、シティポップなバンドはライブ会場にネオン管を飾りがちで、工場夜景が見えるコースでドライブしがちで、さらにその映像をMVにしがちで、夜の東京を背景にして歩きがちだ。

そんなAwesome City Clubのお昼のステージである。どんな雰囲気になるのか構えているとステージが始まる。

気づけばあっという間の時間だった。ライブが終わってからの感想としては、素直にボーカルが可愛い。本人の動きや仕草が想像を絶する可愛さだ。

さらに、よく動いて華があるのに声が乱れることがなかった。

出典元 livefans.jp

ステージに華があるので、もちろんライブが楽しい。ノリが軽いし明るい。でも、CD音源の再現度は高い。この器用さはどこからくるのだろうか。実際にステージで曲を聴いた感想としては、カッティングが効いていて気持ちいい。

ワンマンライブのときは置いてあるものも可愛いらしく、Awesome City Clubのライブに来たという実感が沸くらしい。

Awesome City Clubと言えば、「今夜だけ間違いじゃないことにしてあげる」が最近ヒットしたが、かの有名な音楽プロデューサー小林武史が関わっているから、ヒットしたのは自然な流れじゃないだろうか。

今までの曲との分岐点が、今後どっちかの方向に行くのか、それとも完全に新しい領域に踏み込むのか。

バンドグッズが可愛くて、おしゃれのためのバンド、かつシティポップ好きの登竜門というポジションを確実に得てきている。しかし、特有の軽やかさや万人受けする感じから、愛人的立ち位置のような本命になりきれない感じが見ていてむずがゆい。

やはり初恋のような感情を抱いてしまった。

そんなAwesome City Clubははこのシティポップ量産時代をどう生き抜いていくのだろうか。

●D.A.N.

出典元 d-a-n-music.com

誰しも音に酔ってしまうと噂の横揺れバンド、”D.A.N”。

シティーポップと言われるジャンルの中でもアンダーグラウンド感の強い、クリエイティブな音楽を繰り広げる彼らライブは、昼でも夜を感じさせるような暗い照明で行われ、激しくアート性の高いパフォーマンスで観客を驚かせる。

特にマリンバを使ったサウンドは特徴の一つ。小林うてながバックで演奏を繰り広げ、独特な雰囲気を醸し出す。特に注目したいのが”SSWB”。

今回公開されたMVは、小山田米呂、柳俊太郎、琉花、Megumu、磯田龍生、ダイアナチアキ、ミズトリタケシ、藤江琢磨といった、彼らと関係の親しいモデルや俳優陣を起用。9分弱のドラマ仕立てとなっている。

“SSWB”はSuper shyboy without bearの略ということもMVで明らかになり、センスの良さが滲み出ている作品であることで注目を浴びた。イントロが長く、声が中性的で、サビがどこかわからないほどの全体の滑らかさがある。

Aメロ→Bメロ→サビという形に変化をもたらしたバンドとして注目だ。

ドープなミュージックに身を任せ、chill timeに浸ってみてはいかがだろうか。

流行る音楽には理由がある

「シティポップはおしゃれだから聞く」「シティポップを聞いておけば外さない」

色々話してみたけれど、結局シティポップって人気だし、実際にBoy.編集部も間違いなく好きなことは確かなんです。

現在流行っているシティポップというものは、おしゃれでファッショナブルで、つまり時代に求められているような音楽性だからこそ流行っている。賛否両論あると思うが、今後もシティポップ界から目が話せないことは確かだ。