【音楽の文脈を伝え続ける】Narrativeは福岡をどう変える?

entertainment | 2017.9.18

音楽を見つけるのは難しい?

「カッコイイ」を目指すBoy.男子なら、音楽に詳しくて、好きなバンドのライブによく行くっていう人も多いはず。

私も高校生のとき、Droog(ドルーグ)、hotspring(ホットスプリング)というバンドのライブを見たことでロックンロールに出会うことができたし、ライブを見に行くたびに新しいバンドや音楽に出会うことができた。

どの街にも最高にカッコいい音楽を演奏する人たちがいることを、私は知っている。

今日話をする福岡なら、folk enough(フォーク・イナフ)、IRIKO(イリコ)、DOSE(ドーズ)、The folkees(ザ・フォーキーズ)、WHITE CATSS(ワイトキャッツ)、THE VOTTONES(ザ・ボットンズ)など、挙げればキリがないほどカッコいいバンドがいる。

(もちろん、ロック以外のジャンルで活動するアーティストも、福岡には数多く存在する)

でも、どこか特別な場所に行かなければ、素敵な音楽や新たな音楽を知ることはできないのか、といえばそうではないはずだ。

YoutubeやSNSでは、大量の動画や音楽情報が溢れていて、”探そうと思えば”、探すことができる。

ただ、これだけ情報化が進んだ社会で膨大な情報と向き合うのは途方もないことだし、見つけた音楽を”好き”になるには、なにかきっかけとなるものが必要かもしれない。

そんなきっかけを、生み出し続けている人がいる。”音楽をもっと、日常で楽しむこと”を考え、福岡の音楽シーンを伝え続けるウェブメディア「Narrative(ナラティブ)」を運営する上水 優輝(うえみず ゆうき)さんだ。

音楽に夢中になり、そして、葛藤した20代

上水さんが音楽に挑戦してみたいと思ったのは小学校の頃。音楽一家の友達の家で初めてベースを触ったことで音楽の楽しさを知り、中学2年生のときにお年玉を貯めてベースを購入。

スタジオを借りるお金もなかったので友達の家で練習し、文化祭で最初のライブを披露して以来、音楽活動を続けている。

「中学・高校のときには、Hi-STANDARD(ハイスタンダード)やGOING STEADY(ゴーイング・ステディ)などに影響を受けました。青春・ハードコアというジャンルでバンドをしていました。

高校卒業後は音楽性の違いで当時のバンドをクビになりましたが、その後も音楽活動を続けてきました。アルバイトをしながら音楽活動をしてきたものの、バンドをどんな想いで続けていくべきか、自分が何をしたいかわらず、20代半ばまで辛い日々が続きました。

今思えば、バンドを人生の中でどんな風に捉えるか決めかねていたんですよね。27歳で作業療法士になるために専門学校に入って、そこで出会った先生に、”音楽好きなら続けた方がいいんじゃない?”と言ってもらえて、バンドを続けていこうと決めました。

それからずっと、homesick(ホームシック)というバンドで活動しています。ゆるくてもちゃんと続けていこうと決めてからは、方法論や特定のジャンルにこだわらず、伝えたいメッセージを伝えられるようにいろんな音楽に挑戦しています。」

バンドの方向性と、そこから学んだこと

バンドマンの中には、趣味やサークルのように音楽をする人もいれば、突き詰めて音楽をする人、売れるために音楽をする人がいる。

バンドの方向性はそれぞれ違っていいけれど、決めたことに120%の力で挑戦していくことで、いい音楽を生むことができる。そのことに気づくまで上水さんは、宙ぶらりんの状態で葛藤していたという。

「僕はバンドから”組織”というものを学びました。コミュニケーションをとりながら、それぞれが目的をもっていることが大事だと思います。ゆるく音楽をすると決めたなら、ゆるく続けていく。

売れたいなら、ちゃんとプロモーションもする。音楽へのアプローチの仕方を決めて、そのためにどんな要素が必要なのか考える。僕のやっているhomesickでは、音楽を突き詰めていきたいと思っています。

もちろん聴く人のことも考えた音楽を作るけれど、自分の中で、人生のその時々で気づいたことを作品に落とし込むことを大事にしています。」

福岡の音楽シーンの現状と、「Narrative」が目指すもの。

上水さんはバンド活動やライブハウスでの仕事を通して、多角的に福岡の音楽シーンを体感していくなか、たくさんの課題があることに気づいた。そして、音楽サイト「Narrative」を2017年7月に立ち上げた。

「福岡のライブハウスに来る人は、おおよそ70%がバンドマン、20%が友達、10%が熱狂的ファンです。来る人はいつも一緒なんですよね。

それってバンド側にとっても、『なんで歌ってるんだ?』って疑問になっちゃいますよね。ライブハウスも、バンドマンも、ノルマがなくても人を呼べるような環境作りや、努力が必要だと考えています。

こういった課題に取り組むためにも、読者に音楽と出会うきっかけを作りたいと思いNarrativeを始めました。

たとえば音楽好きの人なら、新しい音楽を積極的に探したりできますよね。『このバンド気になる!』と思えば、すぐにyoutubeで検索したり、主体的にきっかけを見つけることができる。

でも、『そもそもバンドって何?』、『ライブハウスって何?』って思ってる人たちは、いつまでたっても新しい音楽に出会えない。

Narrativeは、文脈、ストーリーという意味なんですけど、バンドがどういう気持ちで音楽活動をしているのか、その過程でどんなドラマがあるのかを伝えることで、読む人が音楽に出会うことができる場所を作りたいと思っています。

バンドマンだけではなくて、ライブハウスや楽器店で働く方々や、音楽に興味がある人ない人、様々な人に話を聞きながら多角的に福岡の音楽シーンを伝えていく予定です。」

これからの”福岡”。

ローカルのバンドであっても、流行にとらわれず、職人のように自分の音楽を突き詰めてる人がたくさんいます。生の音楽って、やっぱり素敵なんです。

その場所でしか体感できない魅力があります。オープンな場所でももっと音楽を溢れさせることができれば、音楽の多様性を実現できると信じています。

最終的には福岡で、音楽の街を作りたい。福岡にもすでに音楽イベントがたくさんあります。でもそれは一種のお祭りで、”音楽を楽しむ特別な日”として存在している。

そうではなくて、もっと日常的に音楽が溢れる街を作りたい。だからライブハウスにこだわらずにカフェで生演奏したり、日常的な場所で音楽活動をすることに意味を感じています。

もしかしたら生のバイオリン演奏を聴いて、バイオリンに興味を持てるかもしれないじゃないですか。そういう風にきっかけ作りができたらいいなと思っています。

そのためにもリアルな現状を問題提起することで、賛否両論をみんなで考えながら、ポップにしてもロックやJazzにしても、どんな音楽でもいい、様々な音楽を楽しむ人が増えたら嬉しいですね。」

多様な音楽を、多様な場所で楽しんでほしい

流行りのポップやロックを聴くことも、音楽の楽しみとして大事なこと。だけれどその枠を超えて、知らなかった音楽を知ることは、なかなか勇気がでなかったり、意識的に行動しなければ難しいこともある。

「流行りの音楽も、音楽を楽しむ軸としてあると思うんですけど、与えられた音楽だけじゃなくて、もっと音楽の多様性を知ってほしいです。

音楽への入り口を作るのがNarrativeの役割で、ただ単に情報を与えるのではなく、音楽に興味を持っていない人の心を動かせたらいいなと思っています。」

音楽を楽しみながら

「音楽をする人、音楽シーンを作る人々が聴く人を振り向かせる努力をしなければ、現状は変わらない。」と考える上水さん。

お客さんが訪れやすい場所を提供したり、もっと人の目に止まるプロモーションをしたり、音楽に興味を持っていない人にも届けるアクションを起こしていく必要があるかもしれない。

だけれど、少なくとも音楽好きが多いBoy.男子たちであれば、聴く側としてもアクションを起こせるんじゃないだろうか。

好きな音楽をもっと追求したり、今まで聴いたことがない音楽に挑戦してみたり、自分の街の音楽シーンに触れてみたり。

今回取材した私も、記事を読んでくれたBoy.男子も、上水さんから音楽に夢中になるきっかけをいただいた。好きな音楽を楽しむだけでいい。

「音楽が好きだ」というならば、本気で楽しもうじゃないか。

>> narrative-fuk.com

>> homesick _ twitter