【非日常の花束を、君に。】記念日に「星野リゾート 界 日光」を選んだ理由

trip | 2017.9.26

夏が終わる。朝夕は涼しげな風が肌をかすめていき、秋も近くなってきたと、ふと感じる。昼間はまだ暑いから、ふとした風の心地よさに心がウキウキとわきたつ。そして、思い出す。

君と出会ったのはまだぼくたちが大学1年のころ。ぼくは地方から上京したばかりで、右も左もわからない田舎者。初めての東京、初めての都会暮らし、初めての登校。

何もかも初めてづくしのぼくは、大学初日に開かれるオリエンテーションもどうしたらいいか分からず、500名ほどいた学生たちのなかただ配られた紙を見て席に座り、周囲の一挙手一投足に注意を払っていた。

これから友達はできるのか、授業についていけるのか。本当に不安だった。周囲の学生は楽しそうに喋っている。「いつの間に友達になってんだよ…。」なんて、不安を若干のいらだちと混同しては、東京にただ1人の自分という”孤独”を紛らわしていた。

そんなときに出逢ったのが、君だった。今でもたまに思うことがある。こうして出逢えたのは本当に奇跡だったんじゃないかって。もし君があの大ホールのなかで、数席違えばぼくらの人生は交わらなかったというこの確率のなかで、偶然隣に座ったこと。

学部はどこですかって君が聞いてくれて、そしたらたまたま一緒で。そこから会話が弾んで、服が好きだったり、同じ韓国のアーティストが好きだったり(本当はそんな知らなかったのに頑張って合わせたのはここだけの話)、たくさんの話をした。

気づけば、とんとん拍子に事は進んでいった。同じサークルに入って、同じ授業を取った。君は生粋の横浜ガールで、何もかも洗練されていた。こんなぼくじゃ届かないと思っていたけれど、夏の終わりに行われたサークル合宿の帰り道、君から突然告白された。

もちろん答えはイエス。なんせあのオリエンテーションのときにはすでに、ぼくは君に一目惚れしていたから。本当に嬉しかったことを覚えている。それからというもの、君とたくさんの場所へでかけた。

__あれから2年が経とうとしている。大学3年生になった。国内外へ旅行をしたり、ライブに参加したりして(あの韓国のアーティストにはだいぶ詳しくなった)、最近はカフェデートが多くなってきた。

そんな折、星野リゾートに行ってみたいと君が打ち明けたのは約3ヶ月前。どうも、昔からいつかは行きたいと思っていたらしい。でも一般的には高級旅館のイメージがあるし、学生が行くところでもないのかも? なんて。

ぼくは嬉しかったんだ。2年記念日に星野リゾートって、贅沢だけど、これ以上ないくらい間違いのない選択だよねって。テーマパークに行くのもいいし、ホテルの高層階でお祝いするのもいいんだけど、それよりも僕らに合ってる気がしたから。

バイトに入る日を増やして、お金を貯めた。1年と10ヶ月の記念日に、サプライズで君に報告した。君はびっくりしていろいろと心配してくれたけど、何よりも嬉しそうな顔をしていた。

都会で疲れるのは嫌だし、2人でゆっくり過ごしたいという気持ちもあって、星野リゾートのなかでも自然が豊かなことで有名な、栃木県は奥日光にある「星野リゾート 界 日光」を選んだ。そして、当日を迎えた。

1日目

新宿でレンタカーを借り、約3時間で到着。途中には有名ないろは坂という道があり、秋には紅葉を見ながらドライブが楽しめる。

少し早めに着いたので、15時のチェックインの前に「二荒山(ふたらさん)神社中宮祠」という有名な神社に参拝へ。

世界遺産の1つ、二社一寺の二荒山神社の中宮祠にあたり、開運、良縁のパワースポットで有名らしい。これからも君と幸せな日々が続けばいいと、そう願った。

界 日光はこの神社から車で3分ほど。中禅寺湖を横目に車を走らせる。そして、その全貌が見えた。

厳かな雰囲気のあるエントランスが僕たちを出迎える。

エントランスを入りギャラリーに展示されている陶器は「益子(ましこ)焼」という名前で、栃木の伝統工芸品らしい。

なんでも全国にある温泉旅館「星野リゾート 界」では、その土地ならではの食材や、その土地ならではの遊び、その土地ならではの文化体験など、その地域やその季節にしかない魅力を楽しんでもらうことをコンセプトに置いているとのこと。

ロビーでチェックインをしている際、ウェルカムドリンクの甘酒を貰った。ほんのりとした甘さが旅の疲れを癒す。こうした細やかな心配りが星野リゾートの魅力の1つなのだろう。

部屋の鍵には飾りがついており、なんともかわいらしい。カワイイではなく、日本らしい”和”のかわいらしさが感じられることが非日常的だ。さっそく、目的の部屋へ向かう。

今回宿泊するのは、界 日光のなかでも限定1室のご当地部屋「鹿沼組子(かぬまくみこ)の間」。中禅寺湖と男体山を望むことができ、朝、昼、夕と表情が変わるその景色を視界いっぱいに楽しむことができる。

「着いたー!」と嬉しそうに君が言う。目の前の景色にウキウキが止まらないらしい。それほど雄大で圧倒されるものがある。秋本番になればどれほど秀麗な景色になるのか、今から楽しみだ。

旅気分をさらに味わうために、浴衣に着替えた。夕方になると、夕食前のサービスとして館内の組子ライブラリーでロゼスパークリングワインが振舞われる。

「飲みすぎないでよ」と注意はするものの、心底楽しんでいそうな君を見て、ぼく自身嬉しくてお酒が進んでしまいそうだ。あぶないあぶない。

鹿沼組子の間という名前の由来が気になっていたんだけど、どうやら、部屋の障子や格子に使われる細かい部材である組子のことらしい。

栃木県鹿沼地方の木工職人たちが組子の技術を競い合い、より細く、細工の技や美しさを追求して生まれたものだとか。

この鹿沼組子、体験キットがあったのでせっかくの機会だし挑戦してみた。

細かい作業のため手先の器用さが必要で、ぼくは、これがいかんせん不器用でなかなかできない。簡単だと思ってかかるものの、初心者はそのむずかしさに四苦八苦するんだとか。

やっとの思いで完成し、ホッとひと息。旅の思い出として持ち帰れるから、コースターにして使おうなんて話をした。

夕食までまだ時間があったので、秋限定の”足湯テラスとにっこり梨のおもてなし紅茶”を体験しに行った。紅葉の男体山を一望しながら、日光名物の「にっこり梨」を使った紅茶をいただける。(10月23日〜11月05日)

ちょうどよい温度の足湯に足を浸からせながら、梨の風味が漂う紅茶をたしなむ。体も心も満たされて、君の顔から自然と笑みが溢れている。

また、ロビーにある組子ライブラリーでは、同じくにっこり梨を使用したスムージーもいただける。県の名産品をふんだんに使い来客をもてなす、そんな界のこだわりが随所に見える。(11月01日〜11月30日)

組子ライブラリーでスムージーを飲みつつまわりを見渡していると、いたるところに鹿沼組子が施されていた。よく見てみると、違った模様になっていたりして芸が細かい。

ひとしきりここまでの思い出を話したあと、夜も暗くなってきてついに夕食の時間になった。どんな夕食がでてくるのか楽しみに食事処へ。

奮発して、予約の際に特別会席なるものを頼んだ。様々な調理法で調理された旬の食材を堪能できる。季節の八寸や、お造り、湯葉と和牛のミルフィーユ鍋など、見て満足、食べて満足な料理が並ぶ。

美味しそうに食べる君を見て、ここにして良かったと心底思った。やっぱり、美味しいものを食べたらその顔になるよね。

普段はカフェやレストランで洋食を食べたりするから少しだけ不安だったけど、幸せそうな顔を見れて良かったです。ありがとう。

鍋を待ってるときの顔は早く食べたい気持ちが顔にですぎていて、内心笑いそうになっていた。じっと待つ。あと少し。

和牛と湯葉を豆乳にくぐらせていただく。和牛はほっぺたが落ちるほど上質で、口に入れるとすぐ溶けてしまった。湯葉の食感とあいまって、なめらかな舌触りが面白い。

大満足の様子の君。食事をしながら、最近あったこと、将来のこと、もう2年だね〜なんて、なんか現実味がない感じで喋っていた。

けど、今日はそんな君に感謝を込めての旅行。ダメ押しのように、界オリジナルの「界のお祝い箱」をサプライズで用意した。

重箱の一の重にプリザーブドフラワー、二の重には落雁(らくがん)という干菓子や黒豆のコンポートなど、和の素材をデコレーションしたケーキを詰め合わせている。

2人で乾杯してお酒を口に含む。2年間はあっという間だったと、感慨深い。落ち着いた雰囲気のなかで、こうしてゆっくりとお酒を飲みながらサプライズもできて、幸せだなあと思う。

彼女のあーんで食べるケーキって美味しさ度が120倍くらいにはなると個人的に思っているのですが、記念日よありがとう。

食事も終わり、時間があったので食事処の隣で行われている「日光下駄談義」へ参加した。栃木の伝統工芸品である「日光下駄」を使ったタップダンスを披露していただく。

なんでも江戸時代のときは格式を重んじた社寺への境内参入についてはいろいろなきまりがあったらしく、その一つが履物であり、「草履」を使用するのが原則だったとか。

しかし日光東照宮をはじめとする日光の社寺は石や雪、坂道が多く草履では歩行が不便。そこで草履の下に木の下駄を合わせた御免下駄が考案された。

それが「日光下駄」の始まりらしい。旅行に来て、栃木の歴史や文化に詳しくなって帰るなんて、意義深い旅になるよなあと感心した。

日光下駄談義を見たあとはロビーで日光珈琲の豆挽き、ドリップ体験に。

益子焼のコーヒーカップを使っていただく。くつろぎの時間を過ごし、しばし静寂の時間を楽しむ。今日1日、たくさんの体験ができた。

この地域ならではの食事や、工芸品、文化体験など、旅行をしにきただけなのに、滞在時間の隅々で栃木県の歴史の息づかいが聞こえてきた。

普段東京にいるときでは味わえない非日常的な体験の数々が、記念日という特別な日にリンクし、この1泊2日の旅行を色褪せない最高の思い出にしてくれている。

これが星野リゾートが支持される所以か…なんて自分で解釈して腑に落ちながら、君との珈琲を楽しむ時間を愛おしく思う。

旅館とは、まさにこうした非日常を味わせてくれる夢のような場所なんだと、強く感じた。

2日目

朝。目を開けると、君はもう起きていた。中禅寺湖を眺めながら最高の目覚めである。外が晴れていたので、朝食を食べたあとは「お目覚め紅葉サイクリング」へ。

(秋本番になると葉が色づき、言葉がでないほど美しい景色になる)

界 日光から車で約15分の場所にある半月山駐車場からは奥日光の紅葉を一望でき、さらに展望台まで登ると日本百名山のひとつ・男体山をバックに色鮮やかな紅葉がぼくたちを出迎える。

自転車で上るにはハードな半月山駐車場までの往路は、片道を車で送迎してもらえるという嬉しいサービス。澄んだ空気を体いっぱいに吸い込み、坂道を緩やかに下っていく。

朝の体を起こすのにはうってつけのアクティビティーだ。帰ってからは、朝風呂をしに界 日光名物の露天風呂「白糸」に入る。

日光杉の香りが特徴的な樽酒を入れた日本酒風呂で、保湿と保温効果が抜群。ポカポカと温まり、体の芯から温まるのが分かる。今日1日を過ごすのに十分なリラックス時間を過ごせた。

星野リゾートとはこれでお別れ。短い滞在だったけど、おおいにリラックスできた。「3年記念日、4年記念日にまた来ようね」って、君が言う。

「そうだね、絶対来よう。」と、力強くぼくは答えた。

__ぼくは思う。大学1年の初日、あのとき隣に君がいなかったら、ぼくの大学生活はどうなっていたんだろうと。

地方からでてきたぼくに声をかけて、それからいろいろな街や店へ連れて行ってくれた。初めて見る東京の街並みは、ぼくにはすごく新鮮に映った。

ぼくの日常を彩ってくれたのは君なんだ。君が、ぼくの大学生活を”非日常”にしてくれた。

星野リゾートに行けば”非日常”を君にプレゼントできる。そう思ってこの旅行に来た。けれど、普段の君との何気ない毎日が特別なことの積み重ねだったんだと、ここに来たおかげで気づくことができた。

非日常に触れることで、日常がいかに愛おしいものか、分かることがある。せわしなく過ぎていく日常のなかで、大切な人のことをもっと大切に思えるようになる、そんな場所がここにはある。

花束を渡すことはできたかな。1年後、2年後、その先もずーっと、君に花束を渡しにいきたい。

非日常の花束を、君に。

編集後記

今回、僕たちBoy.編集部から2名が現地へ向かい取材をさせていただきました。

「星野リゾート 界 日光」の青野様に担当していただき、界 日光が重視していること、この地域ならではの魅力、伝統工芸の数々を紹介していただき、僕たち編集部自身としても旅の新たな魅力を発見することができました。

青野様をはじめ、関わっていただいたスタッフのみなさま、このたびは本当にありがとうございました。

「星野リゾート 界 日光」の空間づくりのこだわりについては別記事で紹介しています。読者のみなさん、ぜひご覧ください!

 

 

>> 星野リゾート 界 日光 公式HP