【インスタグラマーと、服。】No.04:村山 諒(E.G)

藤本 郁哉
  いま、世の中でホットなワード「インスタグラマー」。 トレンドを先駆けて取り入れ、自分なりのこだわりもプラスして日々を楽しむ。 そんな彼らのライフスタイルが詰まった投稿は、日本の男の子たちが参考にできるものばかり。 でも僕たちは思った。インスタグラムだけじゃ分からない彼らの魅力って、たくさんあるんじゃないの? そんな1つの疑問から生まれたのが、今回の企画「インスタグラマーと、服」。 彼らなりの「服」や「ライフスタイル」に対する姿勢。いま何を考えているのか。次に何が来ると予想しているのか。 インタビューを通して、彼らの魅力に迫ります。   assemblyの美容師の村山諒   今回は、Boy.ヘアー監修者であり、美容室E.Gの代表も務める村山 諒(ムラヤマ リョウ)さんにお話をお伺いしました。

—E.Gとは、どんなサロンなんですか

コンセプトは大きく分けて2つある。 1つ目は、トータルコーディネートでヘアーを提案すること。 ヘアスタイルを決めるとき、その人のことを考えた似合わせが大事です。世間一般にある似合せは、その人の骨格、毛量、髪質に合わせていく。でも、それは、当たり前のことだと思う。 本当の意味の似合わせとは、その人のライフスタイルにまで目を向け、トータルコーディネートすること。ファッションとヘアーを別々で考えないことを大切にしている。 2つ目のコンセプトは、簡単がキーワード。 E.GはEASYをもじっていて、極力作り込まないスタイルを提供している。 究極の形は、ノンスタイリングのスタイルを提案することだね。 彼は無類の服好き。続いては、そんな彼にファッションについて語ってもらいました。

—まず、服が好きになったきっかけを教えてください。

  もともと人と被るのが大嫌いだからかな。生き方を独特にするとか性格を独特にするのは難しいし、変な人になっていくじゃないですか(笑)? 人との差を表すところって、一番わかりやすいところで見た目だと思った。 だからこそその見た目でオリジナリティを表現したかった。でもそれはめっちゃぶっ飛んでる感じじゃなくて、普通とはちょっと違うくらいがいい。  

—誰しもが初めからおしゃれなわけではないじゃないですか。いつごろから意識し始めましたか?

  服が本当に好きになったのは専門学生の時くらい。ちゃんと考えるとか、周りを見るのを意識し始めたのもたぶんその頃。だから高校生のときは「Supreme」、「A BATHING APE」、「Stussy」あたりは着てたね。 それでもブランドはなお被らないようにしてた。Supremeもみんなが買い始めれば僕は着なくなるみたいな(笑)。専門学校に入ってからは究極的に個性をだしたいとか、人と同じのが嫌いとか、そうしてたどり着くのがみんな古着なんですよね。 被らないっていう良さがあるから。僕も専門学校に入ってから古着を着始めたし。      

—好きなブランド、ファッションの系統はありますか?

  特定のモノはなくて、”日本人がデザイナー”のブランド。インポートよりは、東京発信のブランドが好きですね。ヨウジやイッセイは確かにカッコいい。それって、世界に向けて発信してるから格が違うんだ。 でも僕は、日本人が日本人のために作ってる服は海外のブランドに負けないと思ってる。僕は普段ブランドから服を見るんじゃなくて、服からまず見てそれが日本のブランドだったってことが多いので。 その感覚って、ピンポイントで日本の流行りや、こういうのが今っぽいよねっていう”感覚”を突いてくる感じかな。たとえばビッグシルエットでも、ちょうどよく日本人の肩幅に合わせて肩を落としてくるのは日本の方がうまいよなとか。 もしそれを海外の規格で、肩を落として着たいとなったら、絶対に身丈も長くなるんだよね。日本人が日本人のために肩を落とそうと考えたら、身丈はちょうどいいのに肩は落ちていて袖の長さもそれに合わせて短くなってる。 だから日本人のために作ってるなってことがわかる”作り”が好き。パンツのシルエットもテーパードの入れ方も海外と日本では違って、それこそ足の長さが違うから日本人が着てきれいなパンツと、ヨーロッパ人が着てきれいなパンツはそれぞれ形が違う。 ヨーロッパですばらしいと言われてるパンツが日本人が履いて良いというかといったらそうではないと思う。それに、若干のシルエットの差はついてくるはずなわけで。 服の系統はその時その時にたぶんマイブームがあって、特に決まった傾向はないかな。この頃はあったかくなってきたし、ラフなスタイルに寄りたいからテーマは”良い感じにだらしない”感じ。 最近よくシャツを着ているんですけど、シャツはオープンカラーばっかり。ラフっていうかざっくり言うといい感じにだらしないでしょ(笑)? ちょこちょこ流行ってるし。  

—村山さんは世界観が確立されてると思うんですけど、とはいえファッションで参考にしているものってないんですか?

  原宿、表参道の街の人たちかなぁ、結局スナップされてる人たちってそこの界隈を歩いてる人だし。雑誌はお店に置いてあるから一応目を通すけど、ざっくり流行りをキャッチしてるくらい。 でも特に流行りを意識したりはしていないかな。頭の中にはあるから、もしかしたら無意識のうちに影響されてるということはあるかもしれない。それでも、メディアよりは現物かな。 紙面や画面で見るのと実際に見る服の雰囲気は違うし、それこそお店で触ってみて着た時の差ってすごいあるから、実際に目の前にいる人の方が勉強になる。やっぱり、髪型もそうなんですけどスタイルの良いモデルが着るから良く見えてしまう。 そう言った先入観なしで見られるのが街の人。後ろ姿でもめっちゃ良いなあの感じとか、これはマネできそうとか、この感じだけは取り入れたら面白いだろうなあって感覚は街の人の方がためになると思う。  

—メンズの服しか見ない?

  それに関しては男女問わず。最近は男女共に似たり寄ったりな格好してない? 色もアイテムも被ってるものが多いから、そういうところでは女の人のコーディネートを参考にして取り入れることも多いかな。 レディースを取り入れることは全然ありだと思う。自分も何個か持っているし、セレクトショップでもメンズのフロアなのにレディースのモノを置いているところもあって、意外といいなって。 女性モノでも大きなサイズなら取り入れられると思うので、僕はそういうのに偏見はないかな。  

—どこで服を買っていますか?また、買うときのポイントやこだわりがあったら教えてください。

  セレクトショップか古着屋です。よく行くのは原宿の「GARDEN」っていうセレクトショップ。大手だと「UNITED ARROWS」が好きかな。青山にある店舗だけ独特なセレクトで個人的には一番好き。 日本でもあんまり置いてないブランドとか、大手のわりにすごい攻めてるなって感じがする。他には「1LDK」ですかね。     あとはだいたい古着屋さんかな、下北、三茶、東横線沿いが一番立ち寄ってますね、中目黒、祐天寺、学芸大前。古着屋さんは休みの日に一日中歩いてお店巡ってますね、実はお店のリスト作ってます(笑)。  

—色々な服を着てきたと思うのですが、黒歴史ってありますか?

  黒歴史っていうと専門学生のときかな。おしゃれじゃなきゃいけない、みたいな。ハードルが上がっちゃって自分のスタイルを見失っていた時期だと思う。 原宿に学校があったし、おしゃれであろうとみんな頑張ってたんだろうな、それに加えて人と被りたくない、個性をだしたいってことで変な服が好きだった。 ハリーポッターみたいなマントを着ていて、それはみんなにツッコまれてたな(笑)。でもファクトタムの結構高かったやつで、おしゃれとかカッコいいは置いておいて、ただただレアだからこれ誰も着てないでしょって感じで買った。 実際、それは今でもたまにイジられてる(笑)。その時は、個性だけを追求していたことでおかしなことになってたな。  

—そのファッションは、いつ軌道修正しましたか?

  普通に戻ったのは就活のときだろうな。それまでは自分が良ければいいって格好だったんだけど、選ばれる立場になって、人からどう思われるのかということを踏まえた格好になった。 でも、完全にシフトしたわけでなくて、自分のベースは保ちつつ常識的に抑えたとか、少し客観的に見てみたって感じ。 専門1年生のときは誰にどう思われようと関係ないって格好だったけど、自分がおしゃれだと思うものを着るっていうスタイルが、自分がいいと思うものを着るっていうスタンスは変わらずに、服を客観的に見れるようになった体験が就活かな。  

—将来の道としてアパレルは選択肢に入らなかったのですか?

  小学校のときから職人さんになりたかったんです。なにかモノを作っている人。たとえば大小関係なしに建物や街。たぶん小6の時に床屋さんから美容室に初めて行った時にめちゃくちゃカッコいいなと思ったからですね。 そこから美容師になろうってのはブレてない。職人さんなわけですよね美容師も。だから特にアパレルと比較したこともないし、なりたいと思ったこともないですね。 初めて思ったのが美容師だし、美容師以外でなりたいと思ったこともなかった。そう思ったのはおしゃれもできるしって要素があったのかも。  

—職人という点では、服を作りたいという考えはなかったのですか?

  考える前に美容師を目指してしまったから、自分に考える間を与えなかったって感じかな。それこそ楽しそうだなってのは思うけど、服に関しては作るより着たいんだろうな。   assemblyの美容師の村山諒    

—美容師としての1日って?

  早い日は朝から撮影して、昼に営業して、夜から朝撮った画像を編集してアップして終わり。撮影ない日は昼からって感じ、夜は22時までですね。  

—休みの少ないお仕事だと思いますが、数少ない休みの日は何をしていますか?

  一日中服を見てるか、夏は山に登ってる。行ったことないとこ目指して、いろんな所の山を登るようにしてます。高尾山とかではなくてガチな山。NIKE等のスポーツウェアを着て、ガチな装備は靴と靴下だけ。 あとはとりあえず上下アンダーアーマーは着ておくみたいな格好。  

—他にはなにかイベントやライブに行ったりは?

  全然行かないですね、山か街かみたいな(笑)。  

—趣味って?

  服と登山。  

—音楽聴いたりはしないんですか?

  聴くけど熱心に聞いたりはしないかな、なくても大丈夫。僕は無音でも大丈夫(笑)。実際、家では音楽も聴かないし、テレビもつけないし。  

—服が好きな人って音楽も好きなのかなぁと思ってたので意外でした(笑)。

  たしかに、音楽好きな人は多いかも。僕は逆に音楽にこだわりがない。嫌いってのもないし好きってのもない。でもそれって多分、全部に言える、何かが好きだから、何かが嫌いなんだろうね。   assemblyの美容師の村山諒    

—E.Gにはいわゆるメンノン系の男の子たちが来ると思うのですが、違う系統の男の子たちはターゲットにしないんですか?

  まず、ターゲットはおしゃれになりたいと思っている人。美容室を選ぶのって基準はいろいろとあると思う。例をだすと、近いか、安いか、仕事の合間に行けるか、あとでゆっくり行くか、とかね。 その基準での選択をしようとする人たちは特に狙ってはいない。何かしら、それ以外の要素でいいなって思ってくれてる人なら大歓迎。  

—美容室っておしゃれじゃない男の子にはハードル高いと思われがちですけど、気にしすぎですかね?

  おしゃれになりたいという意思を持つ子なら誰でも歓迎しています。むしろ、やりがいがありますね。たとえば、インスタは見てたけど地方にいて今年やっと東京出てきたって子。 スゲー芋っぽくても、インスタ見てましたって来てくれたら僕は嬉しいし、じゃあバッチリやってこうかっていう。いい感じの古着屋さんを教えたりとか、それこそヘアスタイルだけじゃなくファッションのこともいろいろと教えてあげたい。 もちろんおしゃれな人が来ても服の話で盛り上がったりできるし、逆に何もわかんないっす、みたいな子が来ても絶対面白い。僕のお店には、こだわりが強くてココをこうして、こんな感じでココはこう!みたいな男の子はあんまり来ないんだよね。 でもやっぱり切っていて楽しいのはアバウトに自分のなりたい髪型を示してくれて、あとは任せてくれる子かな。技術にも2種類あって、まずは単純に技術力。これは上手く切れるかってこと。 たとえば、すごいまとまりやすい、動きやすいって差がでるんだけど、カットが上手いってのは大前提じゃん。同じかある程度の技術力があるって話だとしたら、もう一個の”デザイン力”っていうのが大事なのかもしれない。 たとえばめちゃくちゃカットが上手くてスゲーまとまる、動きやすいってなっても、あんまり形がよくなかったら全然意味ないじゃん? 逆に言えば、技術力は良くも悪くもないけど形めっちゃ気に入ったわって方がいいじゃん。 だからデザインを求めてる人はぜひ僕に切らせてください。  

—流行っている(よくオーダーされる)髪型はありますか?

  単純にカットの大枠のベースはマッシュが多い。マッシュというとくくりが大きくなるんですけど、たとえば前下がりでも前に上がっていっても普通のマッシュだし、刈り上げていようが、刈り上げてなかろうがマッシュが多い。 そのなかでざっくり形だけ伝えてもらったら、その人の雰囲気やファッションで、動く感じがいいんだろうなとか、収まりがいい方が好きなんだろうなとか、あとは髪のクセでここがハネやすいなとか、こっちに勝手に流れちゃうんだなとか。 そういうのを見て、あとはそれに合わせてといった感じのカットが多い。  

—お客さんからオーダーをされた時に意識していることは?

  やっぱり、その人の雰囲気やファッションですね。時々、全くわかんないって人がいるんですよ、何も意見がない。でもお任せとも言わないみたいな、ゼロの人。 そんな時に僕が思うのは、自分のなかでいいと思うものになりたいのか、人にいいと思われたいのかどっちですかっていう。 たとえば人に良いと思われたいっていうのは男の子や友達にいいって言われたいのか、女の子からモテたいのか、モテたいならどんな女の子にモテたいのか?って感じで絞っていったりとか。 逆に人がどうこうじゃなくて自分が気にいる髪型にしたいですっていう感じだったら、じゃあどんなファッション、どこで服買うの、何色が好き?とかそういうところで決めていく。 全く意見を持っていないなら、掘って掘って掘る。意見だけ聞いて、僕がそれに合わせる感じで。  

—では、得意のスタイルを教えてください!

  とにかくラフ。良くワードとして使うのはラフとか無造作、飾らないって感じ。まぁどれも同じような意味なんだけど。大前提として”簡単なこと”。 たとえばこれを使って、こういう順番でこれをやってくださいみたいなことは言わないかな。 てきと—ーにワックスをつけて終わり、何もつけなくてよくてバーって乾かして完成とか、パーマスタイルでもテキトーにできるやつ。難しいことをさせない、めんどくさいことをさせないってスタイルですかね。  
   
   
   
   
   
 

村山 諒が考える「カッコイイ」とは?

  assemblyの美容師の村山諒   んー、カッコいい=オシャレ? 難しいなコレ。なんか矛盾しちゃうんだけど、カッコつけないカッコよさがその人の雰囲気だし、イコールでおしゃれなのかな。 すごいカッコつけてるって雰囲気が周りからもそう見えてるなら違うのかもしれない、ちょうどいいって言葉を使うとずるいんですけど、脱力ってわけでもないし気張ってもない良い感じに肩の力が抜けている人。それはファッションでも生き方でも。 雰囲気で言うならアジカンのボーカルの人(後藤正文)がカッコいいと思う。カッコつけてないじゃん?でもカッコよくない? すごい個人的だけど、歌い方も含めて力抜けてて良いバンドだなって思う。 それこそ僕が中学生の時でワンオクのTAKAは高校生だったのかな? 社会への不満をトゲトゲに歌ってて、大人に噛み付く高校生ってかっこいいなとは思ってたけど、それがリアルでそうだとちょっとみっともないじゃん? 大人への不平不満を言う子供って昔からある形だけど、カッコいいことじゃないし。でも思ってることを歌ってるっていうちょうどよさなんだろうね、いい感じにダサいみたいな。 ダサいってワードはダサいだけ聞いたら悪口だけど、いい感じにダサいっていうのは紙一重でおしゃれなんじゃないかなと。たとえばおしゃれな人のワンアイテムだけ取るとダサいものってあえて含まれてたりするじゃん。 だからいい感じにダサいっていうのはありなのかもしれないし、それって結構カッコいいのかもしれない。アディダスのラインパンツが流行ってたけど、あれだけ見たらダサいじゃん。 でもライダースを合わせてるから形になって今っぽくておしゃれだねってなる。取り入れ方なんだろうな、あえてダサいを取り入れてうまく使える人はカッコいいかもしれない、それって力抜けてるってことだし。 ゴリゴリのブランドものだけや、今流行ってるでしょっていうモノを取り入れただけの人より断然カッコいいと思う。    

村山 諒さんのinstagram

https://www.instagram.com/ryo_mens.hair/

E.G

beauty.hotpepper.jp